ゲーム作りに必要なことは?アニメ『放課後さいころ倶楽部』第6話

店長の友達

今回は店長の古い友達が登場。彼こそジョージ・ベレスフォード、今注目のアメリカの振興レーベル、バッドドワーフのトップでした。
店長、顔が広いですね!彼は元沖縄駐留米軍関係者、なにやら店長もその関連の仕事をしていた経歴があることが垣間見えます。
そもそも日頃のミリタリーファッションといい、筋骨隆々な体つきといい、軍隊関係の出身ですと言われると、なるほど、と納得してしまいます。

話の成り行きで店長がボードゲームショップを経営していることを知ったジョージですが、日本市場には期待せずと断言。確かに(特に少し前までは)日本においてゲームといえばビデオゲームが主流であり、アナログゲームは子供のおもちゃ、あるいは一部マニアがプレイするものというのが一般的な認識だったし、事実そうだったと思います。

翠との邂逅

一方、いつものメンバーはというと、翠が自作ゲームのプロトタイプを完成させたことが判明。もちろんみんなやりたがりますが、翠は不完全なものを見せたくないとかたくなに拒否。気持ちはよくわかります。
中途半端な状態を見せたくない(その裏には評価を受けることに対する怖さ、ダメ出しされたらどうしようという不安なども含まれているのでしょう)、まだ自分でやるべきことが残っているはずだから、それをやりきってから披露したい、翠は良くも悪くも日本人なんだな、と思いました。

結局店長にテストプレイをお願いすることになった翠でしたが、一通りプレイを終えて感想を聞こうとするが、口ごもる店長。そこに現れたのがジョージでした。
ジョージは当然ながら小さな日本のデザイナーが作ったゲームに興味津々、でも翠は仲間たち以上に業界の第一線で活躍しているある種憧れの人に対してこんな半端なものは見せられないとやはりテストプレイを拒否。

それを受けたジョージは”君はデザイナーではない。ゲームは一人では作れない、一人では一生かかっても完成しない”と切って捨てることに。
この言葉に発奮した翠は徹夜で細部の調整を行い、いつものメンバーにテストプレイを頼むことに。

今回のゲームは、翠オリジナル「ワンルーム(プロトタイプ)」

遊んだゲームは「ワンルーム」(作中のオリジナル作品)。
アルバイトをして資金を稼ぎつつ部屋に合った家具を買い集めて得点する。
家具の系統を合わせたり、雑貨と組み合わせたりすると高得点。
アルバイトフェイズで高額を手にすると買い物ができず、逆に買い物フェイズでは直前のアルバイトフェイズで入手金額が低い人から好きなだけ買い物できる、という仕様。

なるほど、こういったシステムは他にもよく見かけますが、この作品にもきちんとバランスを考えて組み込まれているわけですね。

一通りゲームを終えた後、美姫と綾の表情にはなんとなく微妙感が漂う。気を遣って面白い、と言ったものの、翠に促されて語った本音はどれも痛いところを突くものばかりでした。
でも一方でそれはまさに的を射たものでした。

何かを作る時に必要なこと

ゲームに限りませんが、何かを作る上では当然ながら作者は一生懸命にいろいろな角度からその作品を検証し、これ以上はない、完璧だと思ってリリースするわけですが、見る目が変われば当然その切り口も変わってくるわけで、思わぬポイントを指摘されてはっとすることがよくあります。
一生懸命であればあるほど、一つのことに没頭すればするほど、知らず知らずのうちに近視眼的になってしまうのでしょうね。
自分では多角的に検証しているつもりでも、それにはおのずと限界があるのです。

でも他人の目で見てもらうことで、他にも見るべきポイントがわかるかもしれないし、見落としに気付けるかもしれない。自分のなかでは完璧だと思っていたことが実はそうでもないことに気が付ける。
但し、評価を受けることは時に厳しい言葉も覚悟しなければならないし、悔しい思いをすることも少なくないはずで、傷つき心が折れそうになるかもしれません。
でもそれを越えた先にこそ名作が生まれることになるのでしょう。

もちろん評価者は誰でもいいわけではないし、評価者にも能力が必要なことも事実で、能力が不十分な評価者がいい加減なことを言うことも現実には多々あります。
多種多様な評価から真に聞くべきことは何なのか、それを見抜くことも必要になるのでしょう。
その点、今回小さな評価者となった美姫と綾はとてもいいフィードバックをくれたと思いますし、それを素直に受け入れた翠も偉かったと思います。

そして夢への挑戦は続く

自分の未熟さを知った翠はジョージに対して自らの認識の誤りを認め、そのうえで絶対にみんなを笑顔にするゲームを作って見せると誓う。
翠の情熱は本物でしたね。
それを期待してあえて辛辣な言葉をかけたジョージと、日頃そばにいるが故の遠慮から思っていても口に出せなかった店長でしたが、この結果に乾杯!
とてもいいシーンでしたね。

翠のゲームはまだまだプロトタイプ。
プロトタイプは不足があって当たりまえ。それを見つけるために作るのですから、失敗することでどんどん磨かれていく。いつか完成版ができてリアルで発売されたらプレイしてみたいと思います。


来ましたー!翠ちゃん自作ゲーム回!!
私、コミックスでこの回を読んで、翠が好きになったんですよね。

翠って、頭がよくて自信があって友達思いで、ボードゲームに詳しく、ゲームに対するカンもよくて、勝負どころにも強いスーパーガール。
これまでヒロインたちをボードゲームに導く、一種の先輩キャラとして描かれてたわけですけど、作り手に回ったときに、はじめてその感情的な部分や弱さが見えて、そのギャップに愛が止まらないわけです…!

なんですか、友達にテストプレイを頼みたいのに、なかなか言い出せずにしどろもどろになっちゃって、そのくせ「面白そう!」って言ってもらえて、ドヤ顔しちゃうとこなんかもう、翠ちゃん可愛すぎでしょう!!

……なんか息継ぎなしで一気にまくしたてております、この人…。

うちのご主人だと、通常運行だよ~

今回のゲームはそういうわけで、架空のゲームになるわけですが、これが説明を聞いてるとかなり面白そうなんですよね。
美姫や綾の「面白そう!」って言うのも、素直に共感できます。
女の子が好きそうっていうのもわかる。あればやってみたいもの…!

ところが、遊んだ後の感想もこれまた共感できる内容で!
このリアルなやり取りは、たしか作者さんと編集部が実際にこのゲーム企画して試作して、監修のすごろくやさん交えて遊んでもらった中で出てきたらしいですよね。なるほど、納得です!

ところで、毎回途中のCMの前に入る、描きおろしのアイキャッチ画像が楽しみなんですけど、今回の店長&ジョージの沖縄キャンプ時代の絵はテンション上がりましたね!!
もう、この嫌味言い合いながら仲良しさんなんだから、このふたり。
コミックで店長の過去話が出るのがいつも楽しみなんですけど、これ連載中にもう少し過去話を深堀りしてくれるのかな…!?

そういえば、またエミーリアは顔見せだけでしたねぇ…。
来週こそはエミーリア回になるのかな?
物語も後半に突入するタイミングで、満を持しての途中参加ヒロイン投入、楽しみです。


※リンク先「ゲッサンWEB」で原作コミック第1話が無料公開されてます!(2019/10/6現在)

放課後さいころ倶楽部 4巻

  • 作者:中道裕大
  • 出版社:小学館(ゲッサン少年サンデーコミックス)