ボードゲーム初心者9人のクロスレビューから、好みの名作ゲームを探そう!『ボードゲームって本当におもしろいの?』

ボードゲームって本当におもしろいの?

ボードゲームを遊んでみたいけど、どのゲームがいいかわからない…!
家族や友人にボードゲームをプレゼントしたいけど、どのゲームなら喜ばれる?
そんなボードゲームに慣れてない人に全力でおすすめしたいのが、このレビュー本!

「ボードゲーム初心者9人に、名作ゲーム48タイトルを遊んでもらってクロスレビューする」という、ちょっと信じられないくらい手間ひまかかったユニークな試みが、親しみやすいデザインと美しい写真とともにフルカラーで楽しめる本です。
ボードゲームとの幸せな出会いのために、お手元に一冊いかがでしょうか?

こんなに読みやすいボードゲームの本って、今までなかったかも!?

まずこの本が、思わず手にとってパラパラとめくりたくなるくらい可愛らしくオシャレで、旅行ガイドかフォトブックのような素敵なデザインだということを、声を大にして言いたい!
その横長の変形判型に、ポップであざやかなカラーリング、ほのぼのと肩の力の抜けたイラスト。
手元に置いておきたいと思わせてくれるほど、本がモノとして魅力的なのです。

その魅力を伝えるために1枚だけ、このブログでもレビューしている「ナイアガラ」紹介記事の紙面の雰囲気はこんな感じです。
見開き1ページの中で、ひとつのゲームを紹介するという、シンプルでちょっと贅沢な紙面使いです。

命知らずな宝石集め/カヌーを動かして宝石を回収だ!/私のカヌーが!!!/他人のカヌーからちょっと失礼

『ボードゲームって本当におもしろいの?』P60~61より 「ナイアガラ」ゲーム説明小見出し

左ページからコンポーネントの写真が大きく1枚、ゲーム内容の説明。
右ページに実際にプレイした初心者5~6人の評価の点数(10点満点)とレビュー、そして、作者のふうかのレビュー。
右下にゲーム基本情報&詳細コメント、パッケージ写真という構成です。

ゲーム説明はわかりやすく簡潔にまとまっていて、そのゲームの概要を知りたいとき、たとえばゲーム購入前や、次に遊ぶゲームを決めたいときなどにも役立ちそうです。
またふうかさんのレビューやゲーム基本情報部分のコメントなども合わせて、そのゲームのおもしろさがどこにあるのかという点を丁寧にフォローされているのが、さすがは「ふうかさんのレビュー本!」という感じでした。

クロスレビューもレビューアーのイラストからふき出し形式でコメントが出ていて、4コママンガでも楽しむような感じで、サラッと読むことができます。

ちなみにこの見開きごとにそれぞれで、ゲームのコンポーネントに合わせたテーマカラーで、写真枠からアイコンまで色違いになっているのが目に楽しい♪
「ナイアガラ」は茶色なのでちょっと地味ですが、「カルカソンヌ」は緑とか、「スコットランドヤード」は紫とか、「パンデミック」は青とか、カラフルでキレイです。

個人的なお気に入りポイントは、美しいコンポーネント写真!
パッケージ写真は脇役でちょこっとだけ、 コンポーネントに特化している紙面構成が、ゲーマー心をくすぐってくれます。

やっぱりコンポーネントはボードゲームの大きな魅力だと思うのですが、ネットのように何枚も載せられない中、割り切って1枚だけ、断ち切りで大きく載せるという潔さ。
きっと厳選されたんだろうなと思わせられるその写真は、どれもがそのゲームの特徴的な、いわゆる“インスタ映え”する1枚となっています。

クロスレビューをどう読み解くか…?

この本のメインとなるクロスレビュー。
きっと賛否両論あるんだろうけど、私としてはとても興味深い試みだったと思います。

ボードゲームは、テーマもゲームシステムの方向性も本当に多岐にわたるので、おもしろいかどうかは、プレイヤーの得意なスキルや好みとマッチするかどうかが肝心!
どんなに鉄板の名作ゲームでも、苦手なものは低い評価になりがちです…。
レビューアーさん1人のレビュー本だと、「この人はおもしろかったみたいだけど、自分にとってはどうなのか?」という疑問が残ってしまうことは、想像に難くないです。

そこでこの本では、1ゲームにつき5~6人のレビューアーさんと、作者のふうかさんのレビューという複数の評価を比べながら読めることで、自分にフィットするゲームを探しやすくする仕組みになっているんですね。

レビューアーさんの紹介を読むと、「人生ゲーム」くらいしか知らないなど、ほとんどボードゲームを遊んだことのない男女9人。
それぞれの職業も趣味もバラバラで、特に面識のない人たちだったようです。
「これ私大好きです」ってコメントと、「このゲームは苦手です」というコメントが並んだりしてるところが、クロスレビューならではですね。
この本はボードゲーム初心者向けかと思いますが、まったくの初心者さんだと「結局、おもしろいの…、どうなの…???」とわからなくなってしまうかもしれません。

クロスレビューといえば『週刊ファミ通 』 が有名ですが、基本的に評価は違ってあたりまえ。
全員の点数の合計を気にするよりも、「自分の感覚に合うレビュアーさんを見つけて、その人の評価を参考にする」という読み方がポイントではないかと思います。
なので、できれば本の中にいくつか遊んだことのあるゲームがあるくらいの、ボードゲーム初級者あたりが、いちばん参考にしやすいレビュー本なのかなと思いました。

また ゲーム初心者さんらしく、「コツをつかむまでたくさんやらないと、うまくできない感じ」「難しくて、最後までちゃんとわからなかった」「他人と戦わなくていいのがよかった」「点数計算がわかりにくかった」などの意見があちこちに見られます。
たぶん、ゲーム慣れしている人だと「2回目からはもっと楽しめるよ!」とか、「そこを否定しちゃうとこのゲームは成り立たないぞ…」と反論したくなるかもしれません。
そこは、ゲーム慣れしていない人がどういうところで引っかかりやすいかという、インストール時や遊ぶゲームを選ぶときの参考にできそうだなと思いました。

このゲームがこの点数というのは、ちょっと納得がいかないな…!

へぇ…、このレビューアーさんの紹介を見ると、なんとなく戦略性があって、自分で状況をコントロールできるゲームが好きそうだから、運要素が苦手なのかもねぇ~。

どんなゲームが紹介されてる?~ドイツ年間ゲーム大賞受賞作など~

さて、具体的にどんなゲームがチョイスされているかというと、ドイツ年間ゲーム大賞受賞作を中心とした48作品です。
キッズゲーム大賞やノミネート作品の名作も紹介されていて、手軽なものから重量級まで、幅広いゲームが取り上げられています。

  • Chapter1 ドイツ年間ゲーム大賞受賞のゲーム
    アルハンブラ/マンハッタン/ラミィキューブ/バルバロッサ/カタンの開拓者たち/カフェインターナショナル/ケルト/ズーロレット/ウサギとハリネズミ/ヴィラ・パレッティ/アンダーカバー/花火/スコッ トランドヤード/カルカソンヌ/貴族のつとめ/キャメルアップ/郵便馬車/ブラフ/アウフアクセ/チケット・トゥ・ライド・アメリカ/エル グランデ/クワークル/ミシシッピ・クイーン/キングダムビルダー/ドミニオン/トーレス/ナイアガラ/エルフェンランド/ディクシット

  • Chapter2 ドイツ年間キッズゲーム大賞受賞のゲーム
    くるりんパニック/海賊ブラック/ねことねずみの大レース/カラフルミミズ/おばけ屋敷の宝石ハンター/にわとりのしっぽ/オバケだぞ~

  • Chapter3 惜しくも大賞を逃したゲーム
    ファウナ/モウ/クウィックス/ボーナンザ/ウミガメの島/パンデミック/ハゲタカのえじき/ニムト/キャプテン・リノ/マンマミーア!/スカル/ヒューゴ

  • 『ボードゲームって本当におもしろいの?』帯より

どれもこれも有名なゲームばかりで、キッズゲームもフォローしていることもあって、ボードゲーム入門編として入りやすいゲームも多いです。
ちなみにキッズ分野のゲームは、日本の子供向け玩具というイメージとは違っていて、大人でも大いに楽しめる手軽なゲームが多いですよ。

こんな人におすすめです!

ボードゲームをこれから色々やってみたいという人

少し前までは、ボードゲームを遊ぶなら、まずドイツ年間ゲーム大賞をチェックするのって「はじめの一歩」という感じだったと思います。
これから色々遊んでみたいという人なら、この本は余すことなく楽しめるかと…!
またボードゲームを遊び慣れている友人やゲーム仲間がいるなら、遊びたいゲームをリクエストしたり、ボードゲーム話題のネタ本としても役立つかもしれません。

個人的には、いまの「はじめの一歩」はテレビで取り上げられているとか、有名人が好きだったり、東急ハンズや家電量販店などで扱っているとかがフックになったりと、多角化してきたなぁと思います。
やはり国産ボードゲームなどは、ドイツ年間ゲーム大賞ではフォローしきれない部分なので、そこは注意点として頭に置いておきたいところ…。

とはいえ、「ボードゲーム遊ぶならこれはいずれ通るよね」という名作ばかりだと思うので、読むだけでも楽しめますよ!

そろそろ中級~重量級ゲームにデビューしてみたい人

個人的には、一番おすすめしたい層の方々だと思っています!
気軽なパーティーゲームやとっつきやすい国産ゲームなどを遊んで、ボードゲームのおもしろさに目覚めたあなた!
ウェルカム!世界中のボードゲームへ!!

時代を超え、国境を越えて遊ばれる、豊かなテーマとゲーム性を備えた、知的な興奮が待っています!
ぜひこの一冊をきっかけに、より豊かなボードゲームライフを楽しんでみてください♪

友だちやお子さんにボードゲームをオススメしたい人

ボードゲームを人に勧めるのは案外むずかしいものです…。
そのおもしろさを説明するのも難しいし、自分がおもしろいと思ったゲームが、ほかの人にヒットするかどうかもわからない。
そして個人的には、名だたるボードゲームのゲームタイトルやジャケットが、たとえば『ドラゴンクエスト』 『ポケットモンスター』 みたいな“キャッチーさ”に欠けるのが、かなり致命的だと思うんですよね…。

これからは、無駄な議論を重ねる必要はないのです。
この本をそっと手渡して、「この中であなたの好きなゲームを、一緒に遊ぼうよ」と言ってあげましょう!

「よくわからないよ」と言われたら、一緒に読みながら「このゲームはね~、こういうところがおもしろいよ」とか「難しいって言ってる人もいるね。こっちの方が向いてるかも」などと、具体的にアドバイスしてあげられると思います。

初心者さんと一緒にボードゲームを遊ぶ機会のある人

なにげに実用的だと思うのがこの使い方!
サークルやオフ会などでゲーム会を主催する人、あるいは、自作でゲームを作ってる人など、遊び慣れていない人に対して、どう遊ぶゲームを提案したりインストールしたらいいのか、その手がかりには、またとない一冊だと思います。
初心者さんがどういうところでつまづきやすいのか、どこをおもしろいと感じるのかという、なかなか聞けない本音トークを見ることができます。

次に遊ぶゲームを選ぶときのインストールの手助けとして

この本で紹介されているゲームは、だいたい遊ぶメンバーの誰かが持っているよという、ベテランゲーマーさんには、次に遊ぶゲームを決めるときにパラパラとめくってみてはいかがでしょうか。
しばらくプレイしていないゲームを、「あ、これがあった!」と再発見できるかもしれません。

学校や図書館、遊び場などでボードゲームの導入を考えている人

近年、学校や図書館、児童館などの公共施設で行われるボードゲーム会が散見されるようになりました。
日本図書館協会では、遊びながら論理的思考やコミュニケーション力などを身に着けられるという、ボードゲームを中心としたゲームの知育としての側面に注目した『図書館とゲーム~イベントから収集へ』 (JLA図書館実践シリーズ) なども発行されています。

こうした場所でゲーム導入を検討する立場にある方には、ドイツ年間ゲーム大賞という世界トップレベルのお墨付きゲームから厳選され、他国の文化に触れられる輸入ゲームを解説したこの本は、参考書としてきわめて優秀で使いやすいと思います。
ゲーム紹介はボードゲームを遊んだことのない方にもわかりやすい資料ですし、プレイヤーの本音トークは選考の助けになるでしょう。

作者のふうかさんってどんな人?

作者は、ボードゲーマーの間ではとても有名なボードゲームブログ「ふうかのボードゲーム日記」で、10年以上にわたって、ほぼ毎日ボードゲーム情報を発信しているふうかさん。
そのレビューはプレイ日記スタイルで、遊んでいる時のやりとりが想像できるような、読みやすくてリアルな感想が特徴です。

また、2015年からゲームマーケット大賞の審査員として、 「ゲームマーケットで発表されたゲームを可能な限りすべて遊んで評価する」 という過酷な審査をこなし、年間300タイトル以上といわれる、ゲームマーケットの新作同人ゲームをプレイされています。
その膨大なプレイ経験に裏打ちされたゲーム知識は無尽蔵という、ボードゲーム界の大先輩です。

この本についてご本人のブログ記事を見ると、クロスレビューのコメントはゲームを遊び終わった直後に、他の人の感想につられないように個別で録音していたそうです…!
たしかに言われてみると、ネット上の感想ってなんか似ちゃったり、同じ論点の賛成か反対かに終始しちゃったりしますよね。
他の人の感想を目にすると、どうしても影響されるんだなぁと、そこをちゃんと踏まえた手間をかけた作りに驚きました。

お!ドイツ年間ゲーム大賞の創設者のインタビューが載っているぞ!

う~わぁ~、創設の経緯が語られてるよ…!
翻訳者が載ってる…これドイツ語だよ!(←あたりまえ…)
ヴェルネックさんっていうの?この方、ドイツ在住だよ…。
ふうかさんって何者なの…?

…謎だ……!


ボードゲームって本当におもしろいの?

ボードゲームって本当におもしろいの?~ボードゲーム クロスレビュー~

  • 作者:ふうか
  • 出版社:スモール出版