夢に向かって走り出せ! アニメ『放課後さいころ倶楽部』第11話

店長から聞いた伝言は?

いつぞや、翠を焚きつけたアメリカのゲームメーカー、バッドドワーフのジョージからの伝言で、ボードゲームのコンペがあることを知ります。
そのコンペに翠のゲームを持ってこいということでしょうが、はっきりそうとは言わないところがジョージの人となり。なんか店長と似たもの同士ですね。

以前の翠ならこれに対して”まだその段階じゃない”と尻込みしてしまうのでしょうが、今回は違いました。
そのことをいつものみんなに相談した訳ですが、綾のお約束でちょっと場が和みます
”えー、コンペー!コンペって何だっけ?”

ともあれ、まずはみんなに改めてテストプレイをしてもらうことに。
以前みんなに遊んで貰った結果得られたフィードバック、それをもとに地道にゲームを改良し、オリジナルゲームは進化していました。

今回のゲームは、「ワンルーム (ver2) 」

遊んだゲームはもちろん翠のオリジナルゲーム、「 ワンルーム(ver2) 」です。
今回は家具をカードにまとめ、点数も点数ボードを使って見やすく改良。
また、バイトの時間についてもボードを使って縛りを入れることに。
これによってお金を取るか、手番を取るかのジレンマを生みやすくしていました。
これらの工夫でゲーム性が大きく進歩。

しかし、何かが足りない。店長曰く”良くも悪くも纏まりすぎている”と。
多分、面白いっちゃ面白いんだけど、どこかでやったことがある、あのゲームと似てるよね、そういった感じなんじゃないだろうか。
つまり、ゲームバランスやゲーム性を追求するあまり翠のゲームならでは訴求点が薄かったのだろうと思います。

悩む翠に対し、同じゲーム作家志望のエミーからのアドバイスは”シンプルに考え、翠がやりたいことをやればいい”というもの。
それを聞いてこのゲームを作るきっかけを思い出します。

翠の原点は?

翠のおうちはかなりお金持ちという感じでしたが、それもそのはず、実は大手家具会社の社長令嬢でした。
(これどう見ても大〇家具?将来経営権を巡ってお父さんと対立するのだろうか?ショールームにはボドゲコーナーが必要よ!みたいな(笑)。)

そして昔はロングヘアーだったんですね。 個人的には今のショートのが好きですけど。
小さいころの経験から、案外本物の家具はかなりいいお値段するということ(それにより多くの人は妥協を余儀なくされていること)、そして自分の好きな家具で部屋をコーディネートできたらどんなに楽しいだろうと思ったこと、それをゲームにできたら面白いんじゃないかな、と思ったこと、これら翠のゲームの原点と言うべきものを思い出します。

そして一度纏まったver2を敢えて分解、再構成すべく奮闘します。
そこからは徹夜続きで、授業中も爆睡。しかし授業中指名されてもさらりと回答してしまうあたり、流石翠でしたが、流石に体育のバレーボールではどうにもならず、顔面ブロックしてしまいました。
どこの石崎君(キャプ〇ン翼)だ!

改良されたゲームをみんなでプレイ

すったもんだの末に改良を終えたゲーム、もちろん「ワンルーム/ver3」です。
大きく進化したゲーム、家具がカードではなくトークンになったこと、それらを自分の部屋が描かれた個人ボードに配置していくスタイルに変わりました。

お店にはNPCである先客が配置され、買い物に行くタイミングについても戦略性が増しています。
更には個人目標によるボーナス点が記載されたカタログカードを整備。これにより何を優先して揃えるか、さらに悩ましくなりました。
お父さんの家具屋さんで本物を取材して作り上げたトークンの効果で、部屋づくりという面白さが増し、点数も欲しいけど、自分好みの家具も欲しいというジレンマが強くなりました。
ゲームとしての攻め方、選択肢も広がってとてもよくなったと思います。

また、このゲームならではのポイントとして、例えゲームは負けてしまったとしても、なんかお気に入りの部屋が作れたらそれはそれで楽しいんじゃないかな、と思うんです。
これぞボードゲームの醍醐味だと思いました。

ふとよぎる感覚

翠のゲームで盛り上がるみんな。
自分の夢に向かって着実に歩を進める翠、そして同じ夢を追うエミー。
その様子を見ていた美姫はふと寂しさを感じます。
みんながそれぞれ目標に向かって歩んでいくのはうれしい、でも今のこの楽しい時間を失いたくない、ずっとこのままでいたい、繊細な美姫らしいですし、自分にも覚えがあります。
次回はそんなお話になりそうです。


来たー!翠ちゃんメイン回クライマックスっ!!
もうね、私、原作のここらへんを読んで、翠ちゃんが大好きになったんですよね。

ご主人…、今回は正座してTV画面に食いついてたね~。

この、ゼロからものを創ろうするクリエイターに立ちはだかる壁…。
もはやね、 翠ちゃんは少年漫画の主人公ですよ。

心構えが足りない、経験が足りない、スキルが足りない、時間が足りない…。
でもね、ゲームでみんなを笑顔にしたい、ゲームを創りたいって情熱は有り余るほど持ってるんです!
そして、なによりゲームを完成させる根性も。

そこからの努力と成長、それを支える友情を描く、王道展開の快さよ!
この物語の隠れたメインヒロインだと思いますよ。

そして、今回の見どころポイントは「ワンルーム Ver.2」の存在だと思います。
まず形にしたベータ版の、遊べるけどイマイチおもしろくなかったね、という段階から、試行錯誤を経て飛躍的に改良されたバージョン。

ゲーム性は十分高まって、それなりに楽しく遊べるし、形としてもまとまっている…。
けど、「なんか惜しい」というその段階を、飛ばすことなく丁寧に描写しているところに、ゲーム制作のリアリティーが出ていると思うんです。

アニメでも、ver.2のコンポーネントが「ちゃんとしているけど、なんか地味」って感じがよく出ていたよ。

これ、原作で連載されていた頃にどのくらい同人ボードゲームが遊ばれていたかわからないのですが、近年のゲームマーケットで私たちが出会うゲームではわりとあるんですよ、この段階だろうというゲームが…!

もちろん趣味で、限られた時間とリソースの中で創っていながら「完成させている」という時点で、もはや常人には真似のできないレベルに達していると思っています。
遊ぶ専門の人間としては、すべての同人ゲームの制作者さんをリスペクトしてやまないです!本当に凄い!!
…それは前提として。

「もったいない~!」って思うことが、あるんです…。
特に最近は、コンポーネントを丁寧に作りこんでいるサークルさんが多いだけに、見た目は商業でも流通しそうな完成度なのに、中身が…、もう少し、あとちょっとなにか足りない、あるいは多すぎる…洗練されていない、と思うことが。

音楽や漫画・小説などの創作ものをテーマとするにあたって、生まれ持ったセンスや常人離れしたスキル、恵まれた環境をベースに、天才が素晴らしい作品を生み出すという展開は鉄板ですけど、この物語はそうではないんですね。

翠ちゃんはたしかに高級家具屋さんのお嬢さまというアドバンテージはあるにしても、とどのつまり一介のアマチュアゲーマーにすぎない。
それが試行錯誤を繰り返し、少しずつ改良を重ねて、やっとゲームを完成させていく…!
その過程で、ゲームを創りたかった原点を思い出す…。
そこに共感します…!手放しで応援したいっ!!

…ていうか、翠ちゃんのゲーム、ふつうにおもしろそうでプレイしたいよね。

本当にね…っ!!

あとね、ここにきてエミーの存在がいいですよね。
カタログカードの調整に苦労したことを一目で見抜くとか、クリエイター同士のやりとりらしい!
遊ぶ側の人間は、コンポーネントの見た目しかわかりませんが、ゲーム性を担保する苦労をわかってくれる人がいると、翠ちゃんも苦労がむくわれますよね。

エミー、登場回が遅いから、出番が少なくて悲しいですけど…!

いや~、でもその出番の少なさを補ってあまりある存在感だよね。特に今回は。

そうだよね…!エミーの創ってるゲームも見てみたいよ~!!

…と、今回はすっかりセリフも少ない美姫ちゃんですが、さすがのメインヒロインの貫禄…。
最後の最後、素直に友達を応援しきれない、繊細な心理描写で、一気に存在感を出してきましたね…。
天真爛漫な綾との対照的な表情が際立ちます。
いい、引きですね~!

もうね、青い春だよ…!まぶしいね…。

というわけで、いよいよ来週は最終回…!

正座して待ちます…!早く来い次回!!


※リンク先「ゲッサンWEB」で原作コミック第1話が無料公開されてます!(2019/10/6現在)

放課後さいころ倶楽部 7巻

  • 作者:中道裕大
  • 出版社:小学館(ゲッサン少年サンデーコミックス)