血の惨劇、再び。「ブラッディ イン 旅の一座/The Bloody Inn: The Carnies」

  • プレイ人数:1人~4人
  • 所要時間:45分~60分
  • 難易度:ふつう
  • 14歳以上

5

さいころ猫的総合評価

★★★★★
鉄板のおもしろさ!絶対オススメ!

ゲーム内容

おばちゃんもねぇ、そりゃぁ若いころはヤンチャしたもんさね。
それに比べればあんたたちはまだまだ可愛いもんさ。
でもね、そんなことじゃこれからの世の中を生き抜くことはできないよ。
私が若いころに使ってた道具を譲ってあげるから、それぞれ工夫して使ってみな。うまくいけばあんたたちの宿屋はもっと繁盛するはずさ!

旅の一座はボードゲームブラッディ イン拡張版 です。単独で遊ぶことはできません。
ゲームシステムはベースであるブラッディ インと基本的に同じ。
プレイヤーは宿屋の主人となり、訪れた客を歓待しつつ時に言葉巧みに共犯者に仕立て上げ、時に黄泉の世界に旅立っていただき、その財布を頂戴することで資産を増やすことを目的とします。
ゲームは3つのフェイズからなっており、以下の手順で実行します。
・客の来訪(山札から各部屋にカモ(お客様)をご案内)
アクション(以下から二つを選択して実行)
  -客を買収し、共犯者にする
  -客を殺害する
  -殺害した客を埋める(埋めた時点でその客の所持金を奪い取ることができる)
  -設備を建設する(様々な効果が発生すると同時に、死体の隠し場所になる)
  -資金を洗浄する(現金を小切手化する、またはその逆。現金は最大40金までしか所持できず、オーバーフローした場合は切り捨てとなる為こまめな換金が必要。)
・後処理
  -無事だった宿泊客がチェックアウト(宿泊料金の支払い)
  -警察の捜査(宿泊客に警察関係者がいた場合。もしまだ埋めてない死体を所持していた場合、露見しないように村の墓堀人に10金支払って協力を求める必要がある)
-共犯者への協力金支払い(支払いが滞ると当然ながら去って行ってしまう)
これを山札がなくなるまで繰り返し、無事に出発した客のカードをシャッフルして再度山札として上記を繰り返し、その山札が尽きた時点で最も所持金が多かったプレイヤーが勝利。
このシステムは拡張を適用しても全く同じ、変わることはありません。

この拡張版には3つのモジュールが含まれており、それぞれ独立して組み込むことも、複数同時に組み込むこともできるようになっています。

モジュール1--旅の一座
モジュール2--名士
モジュール3--ジネット叔母さんの秘訣と裏技

まずモジュール1、タイトルにもなっている旅の一座。
新たな宿泊客、旅芸人一座のカードが追加となります。
まず大きな特徴は、2つのコストを持つこと。共犯者として雇う/殺害するコストと、建設/埋めるためのコストが別に設定されているので、上手に使えば低コストで高利益を得ることができるようになっています。
また様々な特殊能力が設定されているカードも多く、トリッキーな効果も目立ちます。

中には荷台車が建設できるキャラクターが複数含まれています。
これを建設すると、下に死体を埋めるまでは通常の客室として使用できるという、これまでになかったような効果が得られます。

また、宿泊客の中に旅芸人一座が含まれていた場合はイベントカードがオープンされます。
イベントはおおよそありがたくない効果なので、イベント発生時は不測の事態への対応が求められます。
(但し、イベントカードの適用は任意なので、イベントカードを使わずにプレイすることも可能)

次にモジュール2、名士。
こちらはベースゲームの貴族カードと入れ替えて使用します。
貴族カードはおしなべて財布に大金を持っているという以外はあまり特徴のないカードでしたが、名士カードは少しトリッキーな効果が設定されています。
また、旅の一座同様、2つのコストを持つこともあり、戦略の幅が広がります。


そしてモジュール3、ジネット叔母さんの秘訣と裏技ですが、こちらはアイテムカードの追加になります。
ゲーム開始前に、まず初期所持金を5金→10金とした上で、アイテムカードを各プレイヤーに4枚配り、その中から1枚を選び取り、残りを隣のプレイヤーに渡します。(いわゆるカードドラフトですね。)
これを繰り返して手札が3枚となったら、残り1枚を捨て札にし、手札のコスト分を所持金から支払います。
もちろん高コストなアイテムほど強力な効果を持つ傾向にあるので、安く済ませて初期資金を確保するのか、少々お金をかけてでもいいアイテムをそろえるのか、戦略が分かれます。
入手したカードはゲーム中、カードに規定されたフェイズであれば任意のタイミングで使用することができます。
ぎりぎりまで秘匿すれば一発逆転できるかもしれませんが、あまり大事にしすぎると、使う機を逸してしまうかもしれません。

この3つのモジュール、上記の通りそれぞれ独立した設計になっているので、任意で組み合わせて使うことが可能、組み合わせによってプレイ感覚が少しずつ変わってきますが、いずれにしてもやることは同じなのです。つまり・・・・殺して奪え!

ここが〇

ベースではゲーム展開がやや単調になりがちだったけど、拡張を組み込むことで幅が広がって一発逆転も可能になったし、アイテムの存在でプレイヤー同士の駆け引きもできるようになったので、さらにやりごたえが増したよ!

ここが△

やっぱり怖い―!助けてー

にゃんたのプレイメモ

今日のにゃりまろ

当サイト初の拡張版のレビューとなりました。それが何と何とブラッディ インww。
でもそもそもベースのブラッディ インがなかなかよくできたゲーム(倫理上の問題はさておいて!)なので、その特徴をうまく生かしつつ新たな要素をバランスを崩さないように上手にオンした良作と言えると思います。
まずゲームシステム自体はベースと何ら変わらないので、プレイ感自体は全く同じ。なので一度ベースルールを理解してしまえば、拡張を使用する場合でも全く違和感なくプレイできるところが秀逸です。
もちろん拡張としての役割も十二分に果たしていて、ベースゲームで少し不満が残った部分をうまくリカバリーできています。
具体的には個人作業になりがちだったところに、アイテムの存在が追加されることでプレイヤー間の攻防が生まれ、相手の存在が際立つようになった点。しかしそのアイテムの効果も決して強過ぎないので、ゲームバランスがきちんと保たれていることも特筆できると思います。
更にはイベントカード追加のおかげでお金の管理が一段と重要になりました。このゲームは現金は最大40金しか持てないという制限があり、それ以上は小切手化しなければなりませんでした。それがイベントのお陰で更に際立つようになり、これまでより資金管理に気を配らなければならなくなったことでゲームの幅が広がったと思います。
一方でイベント内容は所持金半減的な大味なものも多く、ちょっと鬱陶しさを感じるかもしれません。ただ、イベントカードを使うかどうかは完全任意なので、気になるようであれば使わないという手もあるというのはとてもユーザーフレンドリー。
新たな顧客もユニークな効果が多く、うまく使えばがっちり儲かるので、色々工夫の余地が生まれます。
顧客をぶっ殺して金を奪い取る!という非常に黒いテーマに拒否感がないのであれば、間違いなくお勧めできる作品です。


ブラッディ イン 旅の一座/The Bloody Inn: The Carnies

  • ゲームデザイン:ニコラ・ロベール / Nicolas Robert
  • メーカー:Pearl Games
  • 日本語版: Hobby Japan