水力発電でSDGsの魁となれ「BARRAGE/バラージ」

  • プレイ人数:1人~4人
  • 所要時間:120分
  • 難易度:難しい
  • 14歳以上

5

さいころ猫的総合評価

★★★★★
鉄板のおもしろさ!絶対オススメ!

ゲーム内容

ダムはムダです。こんなもの公共工事と言えは聞こえはいいでしょうが、要はバラマキですよね?土木業界となにかお約束でもされているのですか?世界一になるには発電量が足りない?2番じゃダメなんですか?

時は第一次世界大戦後、プレイヤーは欧米列強の電力会社のCEOとなり、山間部にダムを築いて水を貯め、その水を利用して発電することで様々な契約をこなし、より多くの勝利点を得ることを目的とします。

ゲームボードは山間部から麓に流れる川が表現されており、大きく山岳、丘陵、平地の3つの領域に別れていおり、各々ダム、発電所、導管(ダムから発電所に水を通すための水道)が建てられるようになっています。
当然山奥になればなるほど難工事となるため、建設コストは高い。
但し当然ながら水は高いところから低いところへと流れるので、より上流の方が水のやりくりがしやすくなる、というメリットが生じます。

プレイヤーはアメリカ、ドイツ、イタリア、フランスの4カ国から1つを選んで担当します。
基本は各国同じですが、一定条件を満たした際のボーナスや特殊能力など少しずつユニークなポイントがあります。

担当する国を決めたら続いて重役を指名します。
それぞれ個性的な重役ですが、皆固有の特殊能力を持っているので、彼らの特性も踏まえて戦略を練る必要があります。

他に各国家に対応したワーカーさんたち、初期資金、掘削機、コンクリートミキサーを得てゲーム開始。
建造物駒は個人ボードの凹みにセットできるようになっており、建設するときはここから使います。

ゲームの目的は勝利点を得ることであり、その方法は複数あるのですが、大半は発電することから得られます。
民間企業又は国家との契約を履行したり、ラウンド毎に示された種類の建造物の建設してボーナスを得たり(これも一定量の発電が獲得条件なので、やはり発電が必要)となりますが、逆に言えば発電しただけでは基本的に得点になりません。

発電する為に必要なものはダム(自前もしくは初期配置の中立ダム)と発電所、そしてそれらを結ぶ導管です。
ダムは最大三段階まで拡張でき、その分だけ貯水量が増えます。
導管は他プレイヤーの所有物でも使うことができますが、使用料の支払いが必要。貸し出した側には勝利点のおまけもつく、という仕様です。

これらの建造物を建設するには、各建物に対応した技術タイルとリソース(掘削機及びコンクリートミキサー)が必要で、これを個人ボードに設置されたクルクルに投入することが必要。

使用したリソースはクルクル内に飲まれてしまいますが、更に建設を実施したり、これを回すアクションを実施することで少しずつ回転し、一周回ると回収できるようになっています。回収したリソース再使用できるようになるので、使い捨てではありません。
それだけにいつ、どれだけのリソースを投入し、どのタイミングで回収するかを考えながら進める必要があります。

このゲームは所謂ワーカープレイスメント
ワーカーを色々なワークスペースに配置することで様々な仕事をこなしてもらいます。
前述の建設は個人ボードのスペースを利用しますが、それ以外は共通スペースを取り合うことになります。

それ以外にできることは、発電、水の管理、重機リソースの購入、銀行から資金を得る、契約タイルを取得する、クルクルを回す。
ワーカープレイスメントのお約束で、条件の良いスペースは早いもの勝ちなのですが、ワーカーやお金を支払うことにより同じスペースを使う機会が用意されている点もこのゲームの特徴。


全プレイヤーのアクションが終わったら、このゲームのハイライトでもある水が水源から流れ出します。
水は下流に向かって流れていき、途中ダムがあればそのレベルに応じた分だけ貯水しますが、溢れた分は下流に流れてしまいます。

ここまで処理したらラウンド毎の得点計算を実施して次のラウンドへ移行します。

これを5ラウンド実施し、最も勝利点を稼ぎ出したプレイヤーが勝利します。

ここが〇

とにかくコンポーネントが素晴らしい。国ごとに違うデザインの建物駒もすごくいいよね。クルクルのギミックなど新しさもありつつ、ワーカープレイスメントの基本的要素がきちんと詰め込まれているよ。できることが多くてルールは複雑だけど難解な点はほとんど無いので、一度ラウンドをこなせば大体理解できちゃうと思うよ。

ここが△

とにかくボリューム感たっぷりなので、しっかり時間を取らないと終わらないよ。ボドゲあるあるで、120分の表示は当てにならないよ。長考プレイヤーがいる時はタイマー必須だね。

にゃんたのプレイメモ

今日のにゃりまろ

数年前に日本語版が発売になった時からずっと欲しかったゲームなのですが、お値段の高さとプレイ時間の長さ(小さな子供がいると纏まった時間が取れない)から手を出せずにいたのですが、思い切って買って本当に良かった。本当に良くできたワーカープレイスメントだと思います。
発電するにはダムも発電所も導管も必要だけどリソースはカツカツ、好立地は早く抑えないと取られちゃう、自分はこれをやりたいけど相手にこれをやらせたくない、相手の邪魔をすると、今度は自分のやりたいことができない。自分がやらなくても誰かがやってくれるかも!?、このようなジレンマに良い意味で悩まされます。プレイする国と重役の組み合わせによって戦略が変わる点も繰り返しプレイするモチベーションになりますね。できる事が非常に多いので初めは難しく感じるかもしれませんが、実は全体が非常にシステマチックに纏まっているので案外分かりやすく、そこまで難解さは感じません。
コンポーネントはとても綺麗で、駒を積み重ねてダムを表現するのは見事。また、特に個人ボードが秀逸で、この手のゲームは各プレイヤーに割り当てられる初期駒が非常に多いので、手元が雑然としがちなのですが、個人ボードにリソースがぴったり収まるようにできているので管理がしやすい。せいぜいワーカー駒の受け皿を用意しておけば快適にプレイできます。上記では紹介しきれていない上級ルールや、ソロプレイ用のオートマチックルールもありますよ。
但し、プレイ時間は本当にかかります。
私は嫁と二人で初めてプレイして、インストだけで1.5時間位、実際のゲームに3.5時間くらいかかりました。
また、ゲームボードがかなり大きいので大きなテーブルがなければ、床に広げた方が無難かもしれません。
ともあれ、重量系ゲームに抵抗がなく、ワーカープレイスメントお好きであれば文句なしにオススメです。



BARRAGE / バラージ

  • ゲームデザイン:Tommaso Battista, Simone Luciani
  • メーカー:Cranio Creations 
  • 日本語版: テンデイズゲームズ