迫りくる脅威、人類に逃げ場無し!「VULCANUS/ボルカルス」

  • プレイ人数:2~4人
  • 所要時間:60分~80分
  • 難易度:ふつう

5

さいころ猫的総合評価

★★★★★
鉄板のおもしろさ!絶対オススメ!

ゲーム内容

総理!これは未曾有の事態です!各地から救助要請が殺到しています!
いや、大火災をどうにかする方が先だ!
何を言ってる?奴を倒さない限り、被害は増え続けるんだ!この際少数の犠牲者などやむを得ない!
倒す??奴に対して有効な手段などありはしないじゃないか!もっと研究を重ねなくては!
そんな悠長なことを言ってる場合じゃない!
とにかく大至急予算承認を!
(ちくしょう、なんで俺が総理の時にこんなことになるんだ・・・・)

このゲームは非対称型の対戦ゲームであり、プレイヤーは怪獣ボルカルス担当(1人)と人類担当(1~3人)に分かれます。
ボルカルスは進化、成長を繰り返しながら破壊の限りをつくし、首都壊滅を目指します。
一方人類は消防隊、自衛隊に指示を出し、火災を抑えつつ市民の避難を進めると共に、ボルカルスに対する研究を進めて直接攻撃をかけることで事態の収拾を図ることを目指します。
人類側のプレイヤーは共闘することになりますが、各々異なった能力を持つ以下の役職のうちの一つを担うことになります。

どの役職でも共通して市民の移動、消防隊の移動、自衛隊の移動、消火活動、自衛隊への指令、動員、予算申請というアクションを取ることができますが、各々の役職に固有の効果を持つアクションが設定されています。

  • 消防総監   ・・・ 消防ヘリ(消防隊を移動させ、溶岩を取り除く)
  • 統合幕僚長  ・・・ 大型貫通爆弾(怪獣にダメージを与えるが市民を巻き込む可能性有)
  • 研究総務官  ・・・ 研究(調査を大幅に進捗させる)
  • 内閣官房長官 ・・・ 状況継続(前後に置かれたアクションカードの効果をコピーする)

ゲームは最大6ラウンドからなり、各ラウンドは以下の5フェイズで構成されています。

  • イベントフェイズ
  • 計画フェイズ
  • 実行フェイズ
  • 溶岩フェイズ
  • 拠点フェイズ

イベントフェイズでは、各ラウンドのイベントカードを表向きにし、怪獣側が効果を実行します。多くは予兆が示されている都市に溶岩が発生するというものですが、上級ルールを選択するとより大きな被害が出ることも。

計画フェイズでは、人類側、怪獣側それぞれが制限時間内にこのラウンドで実行したいアクションを選択し、計画ボードに対応するカードを配置します。
各陣営共に考える時間は2分。それを過ぎるとランダムに選択されたアクションが強制的に選択されることになります。
複数人で人類側を担当する場合は、対応を相談してもOK。

そして実行フェイズ
計画フェイズにて配置したアクションカードを順番にオープンし、内容を実行していきます。
人類の行動で市民が救助されたり、怪獣の行動で犠牲者が出たり、状況は予断を許しません。
尚、人類側の行動には予算を必要とするアクションが多々あり、その都度資金を投じる必要があります。また、追加予算の申請をすることもできるので、足りなくなった場合は補正予算を組む必要がありますが、この非常時であっても然るべき承認行為を経ないと予算が下りません。

すべてのアクションが終了したら溶岩フェイズ。
溶岩が配置されている都市に市民がいた場合、その市民は残念ながら犠牲者となります。また、同一都市に溶岩が3つ以上置かれている場合、炎上都市となり被害がさらに拡大します。
怪獣は怪獣ボードに配置された溶岩駒を使えば使うほど進化を繰り返し、そのたびに新たな能力が発現、強力になっていきます。

最後に実施するのが拠点フェイズ。このフェイズでは拠点付近の市民を避難させ、さらに付近にある調査タイルを獲得することができます。
市民の中には要人が含まれていることもあり、要人を救出することができた場合は資金を提供してもらうことができます。
怪獣が溶岩をまき散らすことで進化するのに対し、人類はその英知で勝負。調査を進めることで有効な手段を獲得していく(=追加アクションを得る)ことができるようになってきます。

ラウンド途中でも、防衛トラックがすべて埋まった or 被害トラックがすべて埋まった場合は即時ゲーム終了。
6ラウンド終了時点でいずれもトラックが埋まり切らなかった場合は、それぞれのトラックの空きマス数がより少ない方の勝利となります。

ここが〇

テーマによくマッチしたゲームシステムで、東京の街をめぐる死闘がよく表現されているよ。砂時計を用いたアクション選択時間制限も、緊迫した状況が再現されて楽しいし、ゲーム時間を無駄に長くしないで済むという効果もあるので非常にいいね!

ここが△

参加人数によってバランスが崩れる可能性がありそう。
また、参加プレイヤーがどれだけこのゲーム経験を持っているかによってもゲームバランスを崩す可能性がありそうだよね。(この点はこのゲームに限ったことではないけれど。)

にゃんたのプレイメモ

にゃりまろ

まず最初に思ったことは、シン・ゴジラだ!ということ。東京の街を蹂躙するボルカルスとそれを迎え撃つ人類の攻防は、なかなかリアルで面白いですね。ボルカルスがだんだん進化していくところなども、少なからずシン・ゴジラの影響を受けているのではないでしょうか?(嫁さんと対戦していて、思わず”蒲田くんはどれだ?”と聞いてしまいました!)
非対称型の対戦ゲームということで、ともすればどちらかが異常に強すぎたりしてバランスの悪さが目立つことも多いのですが、(プレイした限り)このゲームはなかなかうまいバランスでできていると思いました。怪獣側はどのような侵攻ルートを辿るべきか、都市破壊/被害者増加/邪魔な自衛隊や消防隊の排除のいずれを優先すべきか考えなければなりませんし、人類側も市民の救助/消火活動/調査進捗のどれを優先するのか、さらに言えば拠点をどこに構えるのか、救助するにしてもどこを優先するのかなど限られた時間内で効率よく進める必要があります。
どちらの陣営を担当してもそれぞれの面白さがあって、それぞれの歯ごたえを感じられる良作だと思います。
そして東京を火の海にできた時の爽快感は格別でした!(←不謹慎!!)
ゲームシステムもよくまとまっており、初めてでも最初の1ラウンドを回し終えたらあとはサクサク進めることができます。また、アクション選択に時間制限があるおかげでダウンタイムもほとんどなく、ストレスを感じません。
是非ともお勧めしたい一作でした。


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VULCANUS/ボルカルス

  • 発行:アークライト
  • ゲームデザイン:上杉 真人