- プレイ人数:1人~10人
- 所要時間:10分~20分
- 難易度:むずかしい
さいころ猫的総合評価
★★☆☆☆
ハマる人にはハマるかも!?
ゲーム内容
SNSで5,000回以上も拡散され注目を浴びた1通のツイートから、見たことのない新感覚のかるたが爆誕した。
取り札は48枚。だが、その表面の1文はすべて同じで、それぞれ異なる書体で印字されている。
そう、プレイヤーに問われているのは、そのフォントを見分ける力なのだ…!
フォント名を読み上げ、そのフォントで書かれた取り札を取る。
ルールはきわめてシンプルです。
しかし、そのマニアックさと見るからに高い難易度から、SNS上で「狂気…」「なにこれ、欲しい!」「無理ゲー」などと話題に…!
もともとデザイナー同士の新年会のために1点だけ自作されたというこのかるたは、ついにデザインフェスタにて製品化されるに至ったという、変わり種の同人ゲームです。
デザイン好き、文字好きには、たまらない逸品!
「愛のあるユニークで豊かな書体」。…これ、写研さんの書体見本の一文です。
あえてその文言をチョイスすることから、制作者のフォントに対する愛とリスペクトがほとばしっています。
そして、その取り札を眺めると、書体によってさまざまに表情を変える、フォントの魅力を感じることができます。
百人一首を模したコンポーネントは、文字を楽しむのに特化した潔い美しさがあり、雑貨としても楽しみたくなるほど。
48の書体はよく見かける身近なフォントや特徴的なフォントが選ばれており、名前を知らなくても、見覚えがあるものが多いです。
百人一首を模したコンポーネント このブログでも使用している「游ゴシック体」 ちょっと面白い、特徴あるフォントも…
読み札には、フォント名、解説、取り札と同じ書体サンプルが記載されています。それぞれの要素で、難易度を調整できるようになっています。
「フォント名」だけで取るのは、百人一首でいえば、上の句だけで下の句の取り札を取るようなもの。プレイヤーのもともとのフォント知識が試されます。
そこまでフォント知識がない一般人なわれわれには、「フォント名+解説」まで使って、ようやくゲームとして成立するかと思います。
この解説がなかなか面白い!豆知識としても楽しむことができます。
そこに書かれた具体的な文字の特徴から、フォントを類推していくのですが、特徴的なフォントなら意外に解説だけでもなんとなくわかりました。
しかしフォントによっては、「明るく現代的なゴシック体って、つまりどんな文字やねん!」と思うようなフォントも出てきます。
そこで登場するのが、読み札の「書体サンプル」での答え合わせ。これを見ながら同じ文字を探すと、間違い探しや神経衰弱に近いゲーム性になります。
ちなみに、フォントというものは大きく4種類に分けられることを知っておくと、解説がわかりやすくなりますよ。
「明朝体」 …縦横の太さが異なり、トメ、ハネ、ハライなどが明確
「ゴシック体」 …縦横の太さが同じ
「丸ゴシック体」…ゴシック体の特徴を持ち、線の端が丸い
「その他」 …手書き風、ペン字や毛筆体など
左から丸ゴシック体、明朝体、ゴシック体。同じシリーズでも表情が違う。
ゲームとしては、ソロプレイ、二人対戦、大人数での対戦に対応しています。
読み手がいなくてもプレイできるように、読み札ケースが付属。
書体サンプルを隠しながら、表面ではフォント名+解説、裏面ではフォント名だけを見ることができます。このケースは自分で組み立てが必要です。
フォント名&解説。「君の名は。」の書体はどれだ? 取り札を裏返すと答えが… この中のどこかにあります
最終的に取り札を多く取れたプレイヤーの勝利です。
答えは、この取り札(下から二列目、中央のやや左寄り)でした!
これ、総合評価1点だな…。
ああ、あまりにもニッチ過ぎて、もはやゲーム性はなきに等しいぞ。
コンポーネントも、字だけのシンプルさだし。
はっ?ありえない!せめて2点…、個人的には4点は固いよ…!!
見てよ、この美しく字詰めされ、細部まで気を配られた取り札…。
本職のデザイナーさんの仕事だと一目でわかるよ。
そして読み札の、1つ1つのフォントに付けられた熱い解説…!
どうしてもと言うなら、「創英角POP体最高!」と言わないと。
そ…、そんな……!? なんて邪悪な…っ!!
ここが〇
溢れんばかりのこだわりとフォント愛。
ヒットする層は狭いかもしれないけれど、ハマる人には熱く支持される、これぞ同人ゲームの理想的な形といえるだろうね。
ボードゲーマーというより、デザイン系や教育関係での注目度があって、ヴィレッジバンガードなどで取り扱いがあるところが面白い。
さらに鬼難易度と噂の拡張版が出たり、昨年は飯田橋の印刷博物館などでかるた大会が開かれたりと、制作者さんも積極的に活動されているよ。
ここが△
やっぱりむずかしいので一緒にプレイする人をさがすのが大変…?
一面の取り札見ただけで「こりゃ無理だわー」ってなっちゃう人もいると思う。(にゃんたさんが対戦につきあってくれない……)
あと、読み札ケースが形どおりに切られていると助かるなぁ…。
ハサミで切ったら、ちょっと失敗しちゃって悲しい…!
ミミックのプレイメモ
フォントに詳しくなくても楽しめるか…?
それがこのゲームの肝だと思いますが、意外にもソロプレイでもクイズ感覚で熱中できました。
そのゲーム性は、たとえば『デモンズソウル』や『モンスターハンター』などの、立ち回りにプレイヤースキルが求められるアクションゲームのような感覚です。
はじめは全然フォントの見分けがつかずお手付きを繰り返しますが、回を重ねるにつれて、どこがポイントなのかが徐々にわかるようになってきて、手応えを感じるようになります。
絶対フォント感までいかなくても、少しだけフォントの感度がよくなることで、普段の生活で目にするなにげない印字が、意味を持った興味の対象になる。
耳のいい人が豊かな音を聞き分けるように、色を見分ける人が繊細な色の違いを楽しんでいるように…。
いつもの暮らしに、ちょっとだけ新たな彩りがプラスされる…、そんな素敵なゲームだと思います。
マニアックだけどね!