文明を興して隆盛を極めろ「HADARA-文明の興隆/ ハダラ」

  • プレイ人数:2人~5人
  • 所要時間:45~60分
  • 難易度:ふつう
  • 推奨年齢:10歳~

4

さいころ猫的総合評価

★★★★☆
きっと盛り上がる!プレイして損なし

ゲーム内容

”我らが文明は世界最先端である。周辺の蛮族どもの下賤な文明など目もくれず、全国民は国の発展の為にその労力を捧げよ!”

プレーヤーは各々の文明の指導者となり、3つの時代にわたり文明の発展度を競います。
各プレイヤーにはそれぞれ個人ボードが配られ、ボード上で発展度が管理されます。
ボードの構成はすべて同じですが、各プレイヤーの文明を象徴する固有のエンブレム(ドラゴン、ライオン、ペガサス、サル(エテ公)、スカラベ(要はフンコロガシ))が描かれています。
各々、その地域や文化や宗教などによって、神聖視されたり神様として扱われたりすることもあるようですが、でもカッコいいペガサスやドラゴン、ライオンに比べ、残り二つはなんだかちょっと残念なのは気のせいでしょうか?(能力差は皆無です)

このゲームで競うのは4項目の国力。
・経済
・軍事
・文化
・食料
それぞれ欠かすことのできない要素ですが、すべてをバランスよく伸ばすのか、何かに特化するのか、プレイヤーの手腕が問われます。
初期パラメータはランダムに配布された準備カードにより決まります。

スタートプレイヤーは前述の準備カードに記された歯車状のアイコンが示す数字により決まります。
1~3の場合は各々のラウンドにおいて最初の手番となりますが、4/5はそれがない分ボーナスコインがもらえる仕様。
手番ではまずスタートプレイヤーがメインボード中央のダイヤルを回転させます。
ここには各々の文明を示すアイコンが記されていて、そのアイコンが示す先にあるカードがその手番において各プレイヤーが処理すべきカードになります。

カード置き場には文明発展を示す4つの要素、経済/軍事/文化/食料の他、直接文明の発展度には寄与しないものの、特殊効果をもたらす紫色の文明カードが存在します。

スタートプレイヤーから順に自分の文明アイコンが示す種類の山札から2枚を引いて1枚を選び、選ばなかった1枚は山札の横に表にして捨てます。
選んだ1枚は購入するか売却するかを決め、処理します。購入した場合はそのカードに対応した発展値を、売却時は現金を得ることができます。
ダイヤルが示す順に全プライヤーが処理を終えたら、ダイヤルを1つ分回すことで、前回と違うカードを取引することになるので、同様の処理を繰り返します。
これを場からカードがなくなるまで繰り返します。
その後収入処理。経済の発展値分だけ収入を得ることができます。
更に入植の処理。
このゲームには植民地の概念があり、各植民地に設定された軍事力以上の軍事力を有している場合、入植することができます。
その際、方法は2つ。侵略するか併合するか。侵略は文字通り力でねじ伏せるやり方で、植民地から現金を搾取することができます。
一方、併合する場合は現地に資金を提供する代わりに自らの文明発展に手を貸してもらいます。
(ランダムでいずれかの要素が上昇します)
但し、入植時点では植民地カードは裏向きとなっていて、併合時にどの程度発展に寄与してくれるかは未知数。どちらを選んでも勝利点が得られます。

最後に彫像。個人ボード上に記された彫像アイコンが示す値以上の文化力を持っている場合に彫像が可能となり、任意のボーナストークンをはめ込むことで、対応する要素を発展させることができ、また勝利点を得ることができます。
ここまで処理したらフェイズAは終了、フェイズBに移行します。

フェイズBも基本はフェイズAと同じですが、今度はフェイズAでプレイヤーが選ばなかった札の山から1枚引き、購入か売却を選択します。これをフェイズA同様札がなくなるまで繰り返します。
その後、収入、入植、彫像はフェイズAと同じですが、フェイズB特有なのが食料供給です。
これまでのフェイズの中で獲得(購入)したカード1枚につき食料のレベル1点を必要としますが、もし食料不足に陥った場合、足りない分だけ獲得したカードを捨てなければなりません。
その場合、当然ながらそのカードの効果で発展した要素はマイナスされてしまいます。

そして最後はメダルの購入。
メダルには2種類ありゲーム終了時に勝利点をもたらします。
金メダルはにすべての色のカード1枚ずつを1セットととし、1セット毎に勝利点7点分が、銀メダルはセットしたトークンが示す文明要素のレベルの1/2がそれぞれ勝利点としてカウントされます。
メダルは各ラウンドの最後に購入できるので、ゲームを通じて3回のチャンスがありますが、ラウンドが進むたびに価格が上昇するため要注意です。

これを3ラウンド分繰り返した時点でゲーム終了。
最も勝利点が高かったプレイヤーが勝利です。

ここが〇

壮大なテーマのゲームなのに、ルールがとてもシンプルに纏まっていると思うな。
ちょっと変則的なカードドラフトゲームだと思うけど、クセのあるタイプではなくとても素直なので、初心者でもすぐに理解できるんじゃないかな。
割とサクサク進行するので、意外と時間もかからないから、今日は複数のゲームやりたいから、あまり重すぐないけど歯ごたえのあるゲームがやりたい!なんて時にはオススメだよ。

ここが△

文明カードのアートワークがとてもきれいなのに、ゲーム上そこに意味が全くないのはちょっと残念かな。3つのラウンドを戦うことになるんだけど、時代が進んだな!って実感がちょっと薄いかも。

にゃんたのプレイメモ

今日のにゃりまろ

すごく個人的な理由ではあるのですが、もはや買うことを義務付けられたかのようで、買うべくして買った作品です。

タイトルやテーマからはちょっととっつきにくい感じを受けるかもしれませんが、やってみると難しいと感じる要素はほとんどなく、気が付けば白熱したゲーム展開になっている、そんなタイプのゲームです。
ゲームシステムもシンプルで分かりやすく、インストにもそれほど時間を要しません。
ゲーム展開も早いので、遊びやすい作品かと思います。
また、内箱も単にコンポーネントを綺麗に収めるのみならず、ゲームが進行しやすいようなトレイになっている点も見逃せません。

文明発展系のゲームは色々ありますが、このゲームの特徴は発展させる要素(カテゴリー)とそのレベルだけに特化し、よくあるカードごとの特殊効果をバッサリ切り捨てていることにあると思います(少しトリッキーな効果は紫色の発展カードに集約している)。
これによって一つ一つの効果を検証して攻め手を考える時間や、実際にそれぞれの効果を処理したりする時間が短縮され、ゲームが複雑、長時間化することを防いでいると思います。

ただ、その一方でせっかく綺麗なアートワークには何の意味もないので、時代が進んでも”文明が発展したな!”という感動が薄いのがちょっと残念。
実際にカードによっては1ラウンド目でも3ラウンド目でも見た目としてはあまり変わり映えしなかったりすることも。

それであれば、いっそのこと各ラウンドを石器時代/中世/近代くらいにバッサリ切り分けて、明確に世の中が発展したことがわかるようにしてもよかったのかな、って思います。
また、基本的にはコツコツ自分の目標に向けて進めていくタイプのゲームで、相手を直接攻撃するような要素はないので人によっては好みが分かれる点かもしれませんね。


HADARA-文明の興隆/ ハダラ

  • ゲームデザイン:Benjamin Schwer
  • メーカー : Hans im Gluck
  • 日本語版販売 : アークライト