犯人を説得して人質を解放せよ!:「ザ・ネゴシエーター~人質交渉人~/Hostage Negotiator」

  • プレイ人数:1人
  • 所要時間:15~30分
  • 難易度:かんたん
  • 推奨年齢:15歳~
2

さいころ猫的総合評価

★★☆☆☆
ハマる人にはハマるかも!?

ゲーム内容

お前はいま完全に包囲されている!絶対に逃げられないぞ!今ならまだ間に合う。収監は免れないだろうが、最小限で済むようにいい弁護士を付けてやる。おとなしく人質を解放して投降するんだ!故郷のお袋さんも泣いてるぞ!

プレーヤーは交渉人となり、人質を取って立てこもった犯人と交渉を繰り返して1人でも多くの人質を無事解放させ、このような事件が二度と起きないように犯人を確保または射殺することが目的。

まず3人の中から犯人を1人を選びます。
この時点で初期の人質数と犯人の感情レベルが決まります。
またそれぞれの犯人には事件を起こした背景があり、それに応じた目的(要求)を持っています
これらはゲームを進めることにより明らかになる・・・・かもしれません。
犯人によってはさらに逃走手段についても要求してきている場合もあります。
これらの要求を受け入れれば一時的に優位に立つことができますが、大きなペナルティを背負うことにもなります。

犯人にはS~Kまでの感情レベルが設定されており、交渉の過程において変動します。
気持ちが落ち着くとSに近づき、興奮するとKに近づきます。
犯人の感情がSの状態でさらに感情を落ち着かせる行動を取った場合、その行動に応じた人数の人質が解放され、逆にKの状態でさらに興奮させると行動時応じた人数の人質が殺されてしまします。
更に、人質がいない状態で感情がS以下となる行動が成功すると、犯人は投降してきます。

ゲームはラウンド単位で進行します。
まず手札の交渉カードを切ることで犯人と交渉を重ねます。
交渉の成否はダイスを振ることで判定し、警察マークが描かれた面(5/6)が2個以上出れば大成功、1個出れば成功、出なければ失敗となります。
1~4の目は失敗なのですが、カードが2枚が描かれた4の目だけは特殊で、手札を2枚捨てることで5/6の目と同様、判定成功の扱いにすることができます。

振ることができるダイス数は基本的に犯人の感情レベルによって決まります(レベル表に対応が描かれている)。
交渉内容は様々で、人質の解放(緑色のシルエット)、感情レベル増減、会話ポイントの増減、犯人の要求の明確化(要求カード公開)、ダイス目のコントロールなどがありますが、失敗すると人質が殺されてしまったり、交渉が打ち切られてしまったりすることも。

交渉カードを使い切った、犯人から交渉を打ち切られた、あるいは自らの意思でこのラウンドの交渉を止めた場合、フェーズは手札補充に移行します。
場に公開されている交渉カードの中から、次回以降のラウンドで使うカードを入手できます。
カード右下の吹き出しに描かれた数字がカード入手のコストであり、これを支払うことでより効果の高いカードを入手することができます。
このコストは会話ポイントであり、犯人と交渉を重ねることで増やすことができますが、この会話ポイントは次のラウンドに持ち越すことはできないので、1ラウンド内で貯め、そのラウンドで使い切る必要があります。

補充が終わったらイベントカードのオープン。
犯人の様子が変化したり、人質が脱走を企てたり、犯人から追加要求を受けたりと様々なアクシデントが発生します。
発生するイベントの数(=ゲームの総ラウンド数)は決まっているため、イベントカードが尽きる前に事件を解決する必要があります。

イベントを解決したのち、次のラウンドに移行します。
ラウンドを繰り返し、イベントカードが尽きる前に以下の勝利条件を満たした場合、プレイヤーの勝利となります。
・人質を半数以上救出。
・犯人を投降させる、または射殺する。

犯人を射殺するには
今だ!突入しろ!!
または
スナイパー、撃て!
のカードで判定に成功する必要があります。
しかしながら、その時点でもし人質が残っていた場合、共犯者が出現し、ゲーム続行となります。
この共犯者は非常に短気な人物であり、感情値が上昇する度に人質を殺してしまいます。
但し、人質が最後の一人となった場合、その人質は共犯者自身であるため殺されず、即座に投降します。

ここが〇

簡単ルールなのに人質事件の臨場感たっぷり。
上手に事件を解決できた時はすごく達成感があるよ。

ここが△

ソロ用なので仕方ない部分もあると思うけど、どうしてもゲームの展開が単調になりがちなのと、運の要素が強すぎる感じがするな。

にゃんたのプレイメモ

今日のにゃりまろ

まず、何と言ってもこのテーマがとても良いです。なかなかうまくいかない交渉を重ねながら一人ずつ人質を解放させていくプロセスが上手に再現されているのではないでしょうか。

一方で、ちょっと悩みながらも総合得点を低くしたのは”もったいないな”と思ったからなのです。
面白いゲームであるとは思いますし、とても面白いテーマ、システムだと思いますけど、交渉人と犯人のせめぎ合いが骨子なのにソロ専用。
それ故に判定はダイスに頼るしかなくなるし、運の要素がどうしても強くなってしまう。だから、勝ち筋的なものがある程度見えてしまうと、もう一つ盛り上がりに欠けるかな、と思うのです。
実際、遊ぶ度にイベントカードが入れ替わったり、犯人の要求が変わったりといった変動要素はあるけれど、ゲーム全体の流れはあまり変わらない印象でした。

オススメとして、2人で遊び、一人はゲームマスター的な役割で犯人を演じたりするとよい、とマニュアルに記載がありました。
実際にやってみてそれはその通りと思いましたが、一方でゲームマスター側はゲーム展開に何も関与できないので、同時にやはりちょっと残念な気持ちにもなってしまいました。
であれば、むしろ2人対戦にして、それぞれが相手の腹を探り合いながら、文字通り交渉のカードを切っていけるようなシステムだったらより面白かったんじゃないかなって思うのです。そのうえでソロ用のオートマチックルール付属だったら最高だったと思います。


ザ・ネゴシエーター~人質交渉人~/Hostage Negotiator

  • ゲームデザイン: A.J.Porfirio
  • 制作:Van Rider Games
  • 日本語版:Arclight