「ゲームマーケット」は、ボードゲームやカードゲームなど、電気を使わないで遊ぶ“アナログゲーム”の国内最大の展示即売イベントです。
今のところ、東京では春・秋の年2回、大阪では冬に1回開催されています。
その様子をひと言で言うなら「ボードゲームの大きな文化祭」!
国内有数のボードゲームメーカーやショップが勢ぞろいするのはもちろん、個人の創作ボードゲームを持ち寄ったサークルが、所狭しとブースを連ねる光景は圧巻です。
また、一部のブースでは試遊スペースでゲームを無料で遊んだり、体験イベントなども楽しめます。
ボードゲームのお祭りを楽しむ、そんなひとときを過ごしてみてはどうでしょう?
え~、「ゲームマーケット2019秋」まで、あと一週間を切ってるこのタイミングで出す記事としては、遅きに失しているんじゃ…。
まったくもって面目ない…!!
ただ私も数年前から遊びにいくようになったビギナーですが、それだけに慣れていない参加者の「こうすればよかった!」という気持ちには覚えが…!
特に今回に限らず、これだけ知っておけば安心して楽しめるという内容をまとめたので、なにかのお役に立てばうれしいです。
※2019/11/24:「ゲームマーケット2019秋」一般参加時の情報をベースに、加筆修正を行いました。
ゲームマーケットってどんなイベント?
ゲームのイベントということで、国内外ゲームメーカーが集う「東京ゲームショウ」などを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、どちらかというと同人誌即売会の「コミックマーケット」に近いです。
つまりブースの多くは、趣味でゲームを作っているアマチュアの同人サークルさん。
フリーマーケットのような雰囲気です。
メインとなる同人ゲームのクオリティーは、まさに玉石混淆。
商業ベースでも流通するような、美麗なコンポーネントに高いゲーム性を備えた作品もあれば、はじめてゲームを作ったというサークルさんの、ちょっと雑な作りのゲームもあります。
代わりに商業ゲームでは見られないような、時事ネタや尖ったテーマのもの、面白い着眼点の掘り出しゲームと出会える楽しみがあります。
そして運がよければ、開発者さん自らブースでゲームの解説をしてくれることも…。
ゲームの楽しみ方や開発時の裏話など、生の声を聞くことができるかもしれません。
「会場ではどんな楽しみ方ができるの?」に書いたとおり、いろんな楽しみ方ができるので、ご自分に合った方法で楽しめたらいいかなと思います。
主催のアークライトは、アナログゲームのお隣業界TRPGで「TRPGフェス」(元JGC)を長年運営されている安定のメーカーさんです。
ゲームマーケットも来年20周年を迎えるとか。
歴史があるんですね!
当日までに、見たいゲームやイベントをチェックしよう
近年、ボードゲームの注目度アップを受けてゲームマーケットは拡大を続け、2017秋から東京では2日間開催、前回の2019春では1000ブース近い出展があったそうです。(ゲームマーケット開催データ)
このボリュームに加えて、ボードゲームはパッケージだけではおもしろいかどうかわからない!
なので、事前に気になるゲームやイベントの情報収集して、「このブースは見てみたい」というイメージを持っておくのがおすすめ。
行きたい日程を決める材料にもなるし、当日ただでさえ目移りする中で、これは優先したいというポイントがあれば、右往左往する時間を減らせるかと思います。
はじめての参加で、どんなゲームがあるかさっぱりわからないときは、下記などを試してみてはいかがでしょう?
- ゲームマーケット大賞候補作品をチェックする
- ゲームマーケット公式サイトの出展ブースや出展者ニュースをチェックする
- 「ゲームマーケット2019秋 おすすめ」などでネット検索
見たいブースが決まったら、マップに印をつけて当日持って行けば、スムーズにブースを見て回れます。
残念ながら、「ゲームマーケット大賞」は今年で終わるそうです。
今後は商品化を見据えた「アークライト・ゲーム賞」や、ゲームマーケット参加者による投票「ゲームマーケット・セレクション」が代わりの指標になりそうだね。
それにしても最近、「とりあえず猫出しておけばOK」って感じで、安易にねこゲーを作るサークルさんが多い気がするのが、まことに遺憾である!
(と言いつつ、ご主人、猫ものは必ずチェックしてるんだよな…)
公式サイトではフリーワードでゲームを検索できるので、お好みのテーマがあるときにはおすすめ!
あと、出展者さんのサイトやTwitterなどをちら見しておくと、当日のおまけや最新の出品情報などがわかることもありますよ。
絶対ほしい新作ゲームは、事前に予約しておこう
「これは絶対買おう!」そう決めていたのに、当日ブースは長蛇の列、開場して即完売。
そんなことも珍しくはありません。
同人ゲームは製作ロットが少ない作品が多いので、確実に手に入れたいゲームは事前に予約して、ブースで取り置いてもらうと安心です。
個人的には、はじめて参加なら新作ゲームにこだわらなくてもいいと思います。
むしろ新作購入列がなくなって落ち着いてきた頃に、大手サークルさんのブースを覗くと、評判の旧作やそのリメイクなどがあったりして、労せず比較的安定したクオリティーのものが入手できることもありますよ。
たとえばその年のゲームマーケット大賞作品は、事前の注目度が高くて、長蛇の列になる可能性が高いけど、前年の大賞作品なら入手しやすくなっていたり、とかね。
入場パスとカタログについて
ゲームマーケットに入場するには有料の入場パスが必要です。当日会場で購入します。
また、ゲームマーケットのカタログを購入すると、当日入場パスと交換できる引換券 (1日分) が付いてきます。
これは、当日入場パスと交換する必要があります。
それぞれのお値段は下記のとおり。
- 入場パス …1日:1,000円
- カタログ …2,000円(入場パス引換券が1日分付き)
カタログを購入するかどうかは迷うところかと思います。
直近2019秋のカタログでは、下記のようなジャンル索引があります。
- ボードゲーム スタンダード …一般的なボードゲーム
- ボードゲーム キッズ …こども&ファミリー向け
- ボードゲーム エキスパート …難易度高め、重量級ゲーム
- 1人用・2人用
- 正体隠匿・人狼
- 3桁(ミケタ)ゲーム …1000円未満のお手頃価格のゲーム
- TCG(トレーディングカードゲーム)
- TRPG(テーブルトークRPG)
- シミュレーション
- 中古
- 書籍・グッズ・その他
公式サイトのゲーム一覧ではスタンダード、キッズ、エキスパートの色分けと、キーワード検索を駆使するしかないので、ざっと全体を見渡して情報を得たい場合は便利かと思います。
しかしサークルカットの情報量が乏しくて、どんなゲームがあるのかよくわからないこともあり、最終的には公式サイトで情報を確認した方がいいと思います。
他にも、ボードゲームメーカーやデザイナーのインタビュー記事やコラムなど、読み物として面白い記事もあるので、参加記念代わりに買っておいてもいいかもしれません。
私は記念にカタログがほしい派ですが、初参加の時にカタログがなくても、それほど困らないかなと思います。
会場ではどんな楽しみ方ができるの?
無事に入場できたら、さっそくお目当てのブースやイベントに行ってみましょう!
その後は自由にブースを回ったり、試遊したり、ボードゲーム三昧な時間が待っています。
とはいえ、はじめて参加した時は、見渡す限りのブースを目の前にして、どこから回ればいいのかわからなくなってしまうことがあるかもしれません。
ひとまず、下記のようなコースを足掛かりにしてみてはどうでしょうか?
企業・大手サークルを中心に見て回る
マップで「エリア」と記載されている大きなブースは、ボードゲームメーカー、ホビーショップのような企業や、ショップでも見かける大手サークルさんが軒を連ねています。
衝立で仕切られた中に試遊スペースがあったり、体験会やトークショーなどのミニイベントを行っていることもあります。
ミニイベントは公式サイトのブース一覧や出展者ニュースでチェックできます。
場合によっては、早めの時間に整理券をもらう必要がある場合もあります。
また、マップで「ア~オ」と記載されているブース、壁際ブースも、同様に企業・大手サークルが多く配置されています。広めの試遊スペースがあるところも。
特に企業ブースなら、気軽におすすめのゲームや遊び方などを説明してもらったりもしやすいかと思います。
試遊スペースでゲームを遊びながら回る
今のところ、一般ブースの大半は「販売ブース」「試遊スペース」がそれぞれ別の島になっています。
試遊スペースの島を覗いてみると、各サークルさんの渾身の一作が並び、コンポーネントや取扱説明書などもじっくり眺めることができます。
他の人が遊んでいるのを見るだけでも、ゲームの雰囲気を感じられると思います。
また声をかけるのは少し勇気がいるかもしれませんが、自分もいったん卓に座ってみると、意外とまったりゲームを楽しむことができたりします。
百聞は一遊に如かず!好みのゲームかどうかは遊んでみるのが一番です。
同人サークルさんはホビーショップ店員さんのように説明が上手ではないかもしれませんが、そこはゲーム仲間として交流を楽しんでみてください。
製作にまつわる、意外なエピソードを聞くことができるかもしれませんよ。
気に入ったゲームに出会えたら、販売ブースで購入しに行きましょう。
ちょっと離れていることも多いですが、試遊スペースにいるサークルメンバーの人が場所を教えてくれるでしょう。
少数ですが、販売ブースと試遊スペースが隣り合わせになっているブースがあり、主に小規模のサークルさん向けになっています。
一方で、試遊スペースのない出展をしているサークルさんも相当数いて、試遊できないこともあるのでご注意ください。
特設ブースで体験イベントに参加したり、ステージ発表を見る
特設ブースでは体験イベントや展示等を行っている、広いブースです。
「こどもゲームコーナー」「TRPGフレッシュフェス」など毎回出展されているブースもあり、興味のある内容ならばぜひ覗いてみるといいと思います。
ただ、2日間開催の場合、一日しか出展してないこともあるのでご注意ください。
また、2019秋から特設ステージが常設されました。
プログラムを見ると、ゲームマーケット大賞の授賞式や新作発表会、ステージ生配信、ボードゲームコンテスト、面白いところでは三遊亭楽天師匠の「TRPG落語」なども予定されているようです。
これまでブース内で行われていて把握しにくかったイベントが、見やすくなるのではないでしょうか。
ステージプログラムは入場パスに記載されているそうなので、チェックしておくといいかもしれません。
新作ゲーム展示でサンプルを見て、気になるブースに行く
新作ゲーム展示卓には、今回のゲームマーケットの新作ゲームのサンプルが一同に会しています。
パッケージの説明を見たり、ものによっては取扱説明書が読めるゲームもあります。
それぞれのゲームにサークル名とブースが記載されているので、気になるゲームのブースを見に行ってみましょう。
私たちがサークルさんを見て回った時は、一般サークルの販売ブースを隅から隅までローラー作戦でひととおり行ってました。
直近は出産で参加できてないのですが、その間も出展者数は増え続けていて、いつまでこの作戦で対応できるかな…と、うれしい反面悩ましいところです。
企業や大手さんの作品だと、ゲームマーケットで入手できなくても、後で通販で手に入れられたり再販されることもあるから、むしろ中小サークルさんの方が「いま買わないと手に入らないかも…」って緊張感があるよ。
何時ごろに行くのがいいの?
開場は10時ですが、開催時間の10~17時の間ならいつ行ってもよいイベントです。
近年、開場待ちの長い列ができるため、ストレスなく入場するなら、目的に合った時間を選ぶのがおすすめです。
新作ゲームを中心に見て回りたい …8~10時前
限定販売ゲームや新作ゲームを入手したいという人、最近は開場待ちで並ぶようになっているので、10時に行っても10時には入場できないと思っていた方がいいと思います。
待機列ができるのは8時なので、ひとつの目安にしてください。
それより以前の来場は遠慮してほしいと、主催者さんから注意が出ています。
イベントや試遊も含めて、いろいろと見て回りたい …10時半~11時過ぎ
開場待ちの待機列がさばけるくらいの時間を狙うと、開場直後の混乱をやり過ごせて、ストレスなく入場できます。
初期はブースも慌ただしいので、このくらいになると落ち着いて対応してもらいやすいです。
また、ゲーム体験イベントなどもだいたい初回11時スタートくらいが多いです。
特に絶対ほしい新作ゲームがあるわけでなければ、個人的には、初参加の人におすすめの時間帯です。
1~3時間くらいで、マイペースに回りたい …12~13時頃
特に新作ゲームやイベントの参加をしないなら、お昼からの参加もありです。
ブースも落ち着いて、待機などのロスタイムなく、自分のペースでのんびり回ることができます。
ただし、14~15時くらいから撤収されるサークルさんがちらほら出てくるので、それより遅くなると、空きスペースが目立ち始めて会場が寂しくなってきますので、ご注意ください。
2019秋ににゃんたさんが遊びに行った時は、過去最多来場者数を更新した長蛇の列で、 10:30頃になっても待機列が解消しなかったそうです。
また冷たい雨が降っていて、傘を持って並んでるだけでも服の裾や靴下が濡れてしまったりとけっこう難儀したとか…。
会場も入場者数や待機の場所など運営の仕方もその時々で違うので、公式サイトや公式Twitterアカウントの出す情報などを参考にして、臨機応変に無理せず参加してくださいね。
予算はどのくらいを見込んでおけばいいの?
はじめて参加するときは、どのくらい手持ちがあればいいのか不安に思う方もいるかもしれません。
もし「アマチュア作品なら、商業作品よりお安いのでは…?」と予想されたとしたら、残念ながら実際は逆。
同人ゲームは基本的に小ロットなので、商業作品のようにボリュームディスカウントの効果を受けにくく、割高になりがちです。
また近年はコンポーネントを作りこんだ、豪華なものが増えてきていて、必然的に価格も上昇傾向。
お財布には少しゆとりを持っておいた方が、後悔が少ないかもしれません。
とはいえ、カンタン装丁のお手頃ゲームももちろん健在。
1,000円未満のゲームをメインとするブースが集まる、「3桁(ミケタ)ゲーム」ジャンルなどを見てみると、意外な掘り出し物に出会えるかもしれません。
また、前日までに一万円札は崩して用意しておくと、 サークルさんのお釣りの千円札が切れていても慌てることなく、清算がスムーズですよ。
自分の感想としては、カードゲームで1作品が2,500円~3,000円あたりがボリュームゾーンではないかと思うな。
4,000円台になってくると、ボードやタイルなどの種類も増えてきて、印刷加工や外箱の大きさや品質なども、商業作品と比べても遜色ない感じになってくるよ。
逆に2000円を割ると、カードも小ぶりになって種類も少なめ、表面のラミネート加工なんかもされてない、素朴な装丁になってくるよ。
でもボードゲーム、特に同人ゲームは、価格(=コンポーネントの豪華さ)とゲーム性がリンクするとは限らないんですよね…。
たとえば、このブログでもレビューしている「たのめナイン」は1,800円と比較的お手頃価格でしたが、ゲームマーケット大賞の優秀作に選ばれたほどの、とっても面白くて完成度の高いゲームです。
個人的には、ゲームマーケットで入手した作品では、コストパフォーマンス最強だった…。
まぁ、あまりコスパを意識すると、ゲームの面白さも半減してしまいそう。思いがけない出会いの楽しさを大事にしたいですね。
子どもを連れて行っても大丈夫?
ゲームマーケットは「老若男女どなたでも、1日中アナログゲームを楽しんでいただけます」と謳っているとおり、キッズ向けのイベントがあったり、成人向けゲームの販売を禁止したりと、こどもにも配慮した運営をしています。
近年は、小さいお子さん連れの親子参加も目につくようになったなと思います。
入場料でも優遇されていて、小学生以下は保護者同伴で無料。
中学生は学生証の提示で無料で入場できます。
しかし、基本的には大人向けのイベントです。
キッズ向け遊び場のように、ベビーカーの動線から休憩スペース、飲食まで、行き届いたサービスは期待できないと思っていた方が無難です。
ベビールームなどの設備があっても、ゲームマーケット会場から遠いこともありうるので、事前にチェックした方がよいと思います。
こどもを連れていくなら、キッズ向けプログラムの下記の特設コーナーは外せません。
しかし今のところ、東京2日間開催の場合でも一日しか出展されていないので注意。
(2019秋の場合は、11月24日の日曜日のみ)
ファミリー向けゲーム会を運営している4つのサークルさんによる特設ブース。
キッズ向けのゲームを遊ぶことができるミニイベントやフリーゲームスペースもあります。
もちろん無料です。
それ以外のキッズ向けゲームを扱うサークルさんも、主催よりこどもゲームコーナーと同日の出展を推奨されているので、日曜日に集中しているかと思います。
会場にもよりますが、屋内イベントだと思って暑さ寒さ対策をしていないと、空調の効きが甘かったりして、しんどい思いをすることがあります。
そして飲食店の混雑がひどく、お昼ごはんや休憩場所を求めてさまよってしまうことも…。
ただでさえ人が多くて、こどもには大変な環境なので、無理をさせないように気を配ってあげたいよね~。
「ゲームマーケット2019秋」に遊びに行ったときのコラムも参考になれば…!